第33号:第三十五話:「天国と天竺 その1」

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コルカタにテロが起きない理由
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(お食事後にお読みください。)
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ほぼ隔週刊 イトキン コルカタ駐在新聞  第33号 2014年6月6日 コルカタ
第三十五話: 天竺と天国 その1

 

(似て非なるもの)

「似非(えせ)」という漢語があります。これは、「本物でない」という厳しい意味を含んで、これが使われるときは、その本質も、ともすると存在意義も否定せんばかりの意味を持ちます。

それに対して、その言葉を分解して「似て非なるもの」と言うと、その響きは格段に柔らかくなります。ユーモアで笑いを誘うストーリーも多く目にします。

 

ふと思い出したのは、自分が再婚する前の婚活の時です。婚活会社から紹介された、ちょっとした美しい女性と「結婚を前提に」お会いしたときのことです。

イトキン「お好きな芸能人とかいますか?」

女性  「私、ミッチーが好きで、こないだもコンサートに行ったのよ」

イトキン「え?渋いですねぇ。 津軽三味線とかお好きなんですか?」

女性 「? ? ? ? ? ?」(キツネにつままれた様な顔)

 

そう、お気づきの方も多いと思いますが、「ミッチー」と言うとき、女性は及川光博(イケメン俳優)を、自分は三橋美智也(演歌歌手)をイメージして会話をしていたのです。 (因みに数日後、婚活会社経由でその女性からのお断りの連絡が来ました。フンだ。)

 

このように言葉は似ていても、同じでも、全く異なるものが世の中には多くあります。

バンコクのタイ語での名称は「クルンテープ(天使の都)」、いわば「天国」です。これと「天竺」(インドの別名)は、一文字違いです。が、これが大きな違いだと実感しました。

 

(バンコクでの出来事)

さて、5月連休のこと、日本から家族がインドに一週間ほど来る予定になりました。自分はせめて、タイのバンコクまで迎えに行こうと、金曜の深夜、出張の帰り足でバンコクに飛びました。早朝5時に到着です。、夕方日本から来る家族と合流の予定なので、半日の時間があります。

その間、家内からは特別ミッションとして「みりんと料理用日本酒を買っといて」と依頼があり、現地駐在員に教えてもらった伊勢丹デパートへ向かいました。空港から電車に乗り、市内に到着したのが8時前。腹は減っていないし、外は最も蒸し暑い季節の40度。歩きまわるのも苦痛だし、喫茶店がどこかも知りません。致し方なく、エアコンの利いた高架鉄道の社内で居眠り*して、一時間潰し、15年ぶりに伊勢丹に入りました。

*最近、中東のドバイでは、電車で居眠りをすると数千円の罰金なのだそうです。大変ですねぇ。

 

すっかり先進国になっているバンコク。地下鉄に乗ると、自分がまだ上手く発音できない、あのキャリー・パミュパミュのポスターなんて見かけました。バンコクの若い衆を相手にあの機械的な声で歌っているのでしょうか。♪だだだだインベーダー♪

コルカタイトキン新聞_33号①

こちとら汗だくなのに、パミュパミュは毛皮ちっくな装束です。

 

最近ではインドでも見かけるマックもありました。だけど、ちょっと違うなぁ、、あ、タイの挨拶で合掌してます。

コルカタイトキン新聞_33号②

中国人観光客が写真とってました。合掌すればいいのに。

 

いい加減、暑さにくたびれかけたときにやっと伊勢丹に到着しました。いざ!

 

(「お菓子の家」)

伊勢丹は、先進国の良い品物で溢れており、「おのぼりさん」的にキョロキョロしながら上の階にあがっていきます。そして、ついに食料品売り場に到着しました。

伊勢丹の食料売り場は、それこそ「めんつゆ」「イカの塩辛」「素麺」「焼肉のたれ」、、あたかもヘンデルとグレーテルの「お菓子の家」の様に、日本食材であふれていました。あ、「冷やし中華」、「塩麹」まであります。自分は、さっさと家内のミッションを終わらせ、この日本食材の放つオーラに軽いめまいと空腹を覚えました。

コルカタイトキン新聞_33号③

店内って本当は撮ってはいけないのでしょうが、余りに嬉しくて、、、

 

食料品売り場の隣はレストラン街。あー、こういうときはダボハゼ的に食いついてはいけません。一回見て回って、周到に決めなくては、後に後悔を残します。まさに獲物を狙うトビの様に、旋回して狙いを決めて突撃することにしました。

 

周囲はまさに食べたいもののオンパレードでした。トンカツ、寿司、そば、ステーキ、ラーメン。コルカタ駐在なら一度は夢の中に出てきたメニューが、目の前に「待ってたわよ。さぁいらっしゃい」と間口を広げて、、いませんでした。時間は朝10時半。11時から開店です。「これでもか」と日本食を見せられた自分の脳は、パブロフの犬の様に、食欲中枢をグイグイと圧迫し、食欲中枢は、唾液腺をツンツンと刺激しています。が、開店前で「お預け」です。犬なら「お手でも、火の輪くぐりでもするから食わせてくれー」と言うところです。(犬だから、何を言っても「ワン」なのでしょうが、、)

 

歩いていると、ちょっと早くから開いているフードコートを発見しました。そこからあの、タイ料理のかほり。自分の大脳の右と左が、まさに「葛藤」します。

大脳の左「今ここでタイ料理を食ったら、日本食が食えなくなるぞ。我慢しろ!」

大脳の右「腹減ったしぃ。日本食はまだ時間かかりそうだしぃ」

 

大脳の左「君子は先憂行楽。ここは我慢しろ。」

大脳の右「そんなこと言ったってぇ、そんなに我慢って大事なのぉ?」

 

散々自問自答した結果、「ちょっと見るだけ(食べないかもしれないし)」と、ココロの声を聞いて、覗いてみることにしました。

 

(赤いタヌキではなく、、、)

覗いてみたフードコートは、ちょっと高級なフードコートでした。地元の食事が小さな屋台村の様に並んでいます。お昼の時間には早い(10時半)ので、人は多くありませんが、早くも行列の出来ている店があります。そこを覗くと、、、ありました。運命のあれが。

コルカタイトキン新聞_33号④

分かりますか? 「緑のタヌキ」ではありません。

快楽は続きます、、。                  (つづく)

コルカタイトキン新聞_33号⑤

 

「天国」の様な、伊勢丹